バリュー株投資の問題点。もはやパフォーマンスが有効なファクターではない

バリュー株投資バリュー株投資はよく知られた投資戦略ですが、よく知られたが故の問題点も数多くあります。

未だに巷の書籍ではバリュー株投資を推奨するものが散見されますが、個人的にはバリュー株投資を信仰しすぎるのはリスクが高いと考えています。

一番の問題点は、知られすぎたがゆえにバリュー株投資のパフォーマンスが劣化したことですが、それ以外にも問題点は存在します。

ここでは、バリュー株投資の問題点をご紹介します。

なお、バリュー株投資の詳細について知りたい方は、まずは以下の記事をご参照ください。

関連記事:バリュー株投資の指標の見方とバリュー株効果が発生する3つの原因

バリュー株投資のパフォーマンスの劣化

バリュー株投資は昔は非常に有効な戦略でした。

バリュー株投資はバフェットの師匠であるベンジャミングレアムから始まったとされますが、この頃は非常にバリュー株のパフォーマンスがよい時期でした。

しかしながら、近年ではその有効性は大きく低下しています。

米国の場合

米国ではかなり昔からバリュー株投資は有効ではなくなっています

1990年代以降はほとんどバリュー株投資はアルファを生み出していません

もちろん、ITバブル崩壊後であるとか、特定の時期を見るとバリューが効いていることもあるのですが、長期にわたり安定的にアルファを稼げるファクターではなくなっているということです。

米国ではかなり早い時期からバリュー株投資の有効性が知られていました。

特に有名な論文が1993年のFama-Frenchの論文です。

Famaは効率的市場仮説の提唱者であり、マーケットは効率的であるという考えの持ち主ですが、当論文において、マーケットのベータとともに、バリューと小型というリスクプレミアムの存在を認めています。

いわゆるFama-Frenchの3ファクターモデルというやつです。

この論文はアカデミックな世界に大きな影響を与え、その後バリュー株効果がマーケットに内包されるプレミアムとして認められるようになりました(ここは異論があるかもしれません)

しかしながら皮肉なことに、このようなプレミアムはその存在が知られるほど消失してしまう運命にあります。

バリュー株効果についても、Fama-Frenchの論文をはじめ、多くのアカデミックな検証からバリュー株効果が実証され、そのことがプレミアムの消失につながったと考えられます。

日本の場合

日本の場合は、米国とは違い、比較的最近までバリュー株効果は有効でした。

概ねの期間としては、リーマンショック前の時期までは、バリュー株効果が継続して観測され続けてきました。

日本におけるバリュー株効果は非常に強く、世界的に見ても最も効いていた国といっても過言ではありません。

日本ではグロース株のファンドマネージャーよりも、バリュー株のファンドマネージャーの方がパフォーマンスが良好であったのは、このような背景もあります。

しかしながら、リーマンショック後の頃からマーケット環境は変わります。

端的に言ってバリュー株効果が効かなくなったのです。

もちろん細かく期間を区切ってみるとある年はバリュー株投資が有効であったということはありますが、以前のような右肩上がりのアルファを稼ぐような戦略ではなくなったのです。

なぜバリュー株効果が効かなくなったのか

問題はなぜバリュー株効果が効かなくなったのか、裏を返せばなぜそれまではバリュー株効果が有効であったのかですが、正直なところよくわかっていません。

ここも様々な議論があるところですが、わかりやすい説明としては、バリュー株効果を狙った投資が増えたことにより、有効性が低下したということです。

これはバリューに限らず、他のファクターでもよく見られる現象です。

他の説明としては、マーケットの二極化です。

昔であれば、業績の良い企業がその後悪化したり、逆に業績の悪い企業が復活したりとその時々で企業間の優劣は変化したのですが、近年は企業に二極化の傾向が見られます。

勝ち続ける企業は勝ち続け、ダメな企業はずっとダメです。

このような環境下においては、バリュー株効果はワークしにくいのです。

というのは、バリュー株効果はその中身を分解すると、一時的に売り込まれた企業の反発による寄与が大きいです。

二極化が進んでしまうと、ある企業が売り込まれた後に反発するという頻度は少なくなり、パフォーマンス格差はどんどん開いていくことになります。

このようなマーケットの変化がバリュー株効果が有効でなくなった一つの背景ではないかと考えられています。

売買回転率が高い

2つ目の問題点は、売買回転率の高さです。

バリュー株投資は、実直に実行すると売買回転率が高くなってしまいます。

例えば、TOPIXをユニバースとし、バリュー度が高い銘柄を毎月100銘柄保有するというポートフォリオを作ると、年間の回転率はおおよそ200%を超えてきます。

回転率が200%というのは、1年間にポートフォリオの中身が2回完全に入れ替わるというイメージです。

回転率が高いとコストがかかる

回転率が高いことにより起こる問題の1つは、売買コストがかかるということです。

昨今では売買コストはかなり低下してきましたが、それでも売買が多いとそのコスト分パフォーマンスを押し下げてしまいます。

特に流動性の低い銘柄の場合には、投資金額によってはかなりのコストがかかる場合があります。

回転率が高いとマネジメントが大変

回転率が高いポートフォリオというのは、管理が大変です。

中身の銘柄がしょっちゅう入れ替わるので、その銘柄をどの程度保有しているのか把握するのが難しくなります

また、売買の管理自体も大変になります。

売買すると税金がかかる

評価益の出ている銘柄を売買する場合には、税金がかかります。

ファンドの中で売買する分にはこの税金はかからないのですが、個人投資家が自分でポートフォリオを組んで運用する際には、税金分評価益が減ります。

売買するたびに評価益から税金をもっていかれてしまうため、同じリターンであれば、バイアンドホールドする場合に比べ、パフォーマンスは劣後します。

個人投資家には切実な問題といえます。

バリュー株投資の問題点まとめ

以上、バリュー株投資の問題点をまとめると以下のようになります。

  • 近年パフォーマンスが劣化している
  • 売買回転率が高い

特に由々しき問題はパフォーマンスが有効ではなくなってきているという点かと思います。

近年はスマートベータという形でバリュー株投資にもある程度注目が集まっていますが、実はパフォーマンスという観点からは旬を過ぎてしまっている可能性が高いのは皮肉のようにも思えます。

もちろん今後バリュー株効果が復活する可能性もなくはないですが、かつてのように一本調子でアウトパフォームするのではなく、シクリカルな(循環的な)動きをするのではないかと思います。

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