原油へ投資しようとした場合、原油ETFへ投資するのは1つの方法ですが、じつはこれはうまい投資ではありません。
原油ETFは基本的に原油の先物へ投資します。
そして先物というのは、将来のいつかの時点において取引する約束をするもので、その年月により原油の価格が異なります。
この原油先物の価格は、将来になるほど価格が高いという傾向があります。
これを専門用語ではコンタンゴと言います。
期近より期先の方が価格が高い状態をコンタンゴと言いますが、この状態において先物に投資すると、ロールのたびに期近と期先の価格差分だけパフォーマンスが劣化します。
分からない人には何を言っているのかさっぱりわからないと思いますが、要は原油ETFへ投資すると、実際の原油の値動きより大幅にパフォーマンスが悪くなるということです。
つまり、原油へ投資をしたい場合には、原油ETFは有効な投資先ではないのです。
ではどうしたらよいかというと、このような場合には、資源株へ投資するか、もしくはフロンテア株式へ投資する方が得策です。
両者とも原油の価格に連動しやすい性質を持つことに加え、原油ETFのようなパフォーマンスの劣化は起こらないからです。
ここでは原油への投資の代替として有効な投資先のうち、iSharesのフロンティア株ETFについてご紹介します。
※東証にJDRとして上場していたiSharesのフロンティア株式は2018年1月に償還となりました。今後投資をする際は米国に上場しているETFを利用する必要があります。
フロンティア株式ETFの特徴
パフォーマンス
緑色が基準価額、青色が実際にマーケットで取引されている価格になります。
直近のピークから3割ほど下落し、足元では3年前頃の水準まで落ち込んでいます。
その後、原油価格の戻りと共にフロンティアETFの価格も戻してきています。
構成国
構成国上位5つは以下になります。
- クウェート24%
- アルゼンチン15%
- ナイジェリア12%
- パキスタン10%
- ケニア6%
ポートフォリオの4分の1がクウェートなのは気になりますが、エキゾチックでわくわくする国が並んでいます。
特にケニアってなんでしょうか。サバンナのイメージしか沸きません。
上場株式があることにびっくりです。
もう少し冷静に眺めてみると、フロンティア株式は産油国が多いという特徴があります。
産油国はもちろん原油価格が上がるほどパフォーマンスもよくなるため、フロンティア株式全体も原油価格に連動する傾向があります。
しかも産油国には高い配当を払う国も多いため(オイルマネーですね)、配当利回りも比較的高いです。
つまり、原油に投資するのであれば、フロンティア株式に投資した方が長期的なパフォーマンスはよくなるのです。
業種構成
業種上位5つは以下になります。
- 金融52%
- 電気通信サービス15%
- エネルギー11%
- 生活必需品7%
- 素材5%
金融セクターへの集中が気になりますが、未発達のマーケットであることを考えるといたしかたないかもしれません。
ちなみに金融機関の多くは石油関連企業へ融資をしているため、金融株中心とはいっても石油との関連性は高く、石油価格と連動する傾向があります。
コスト
経費率は年率0.79%です。
昨今の低コストインデックスファンドには見劣りしますが、アクセスしにくいマーケットであることを考えると悪くない数字だと思います。
また、iSahresのフロンティア株ETFはJDR形式で米国とのダブル上場であるため、米国と日本でダブルの税金がかかってきます。
この税金は以前は米国30%、日本20%で両方合わせると半分近く税金で持っていかれたのですが、昨年実施された軽減税率の措置により、現在は米国10%、日本20%で合計28%となっています。
https://invest-retire.net/reduced-tax-etf/
3割くらい税金で持っていかれるのは痛いですが、まあ以前よりは改善したのでぎりぎり許せるラインでしょうか。
※2018年1月にフロンティア株のJDRは償還しました。今後は米国上場のETFを利用する必要があります。経費率は同じ0.79%です。
フロンティア株ETFの売買
既に述べたように、フロンティア株式へ投資する際にはETFを使うのが一般的です。
ただ、ETFというのは機動的な売買ができる反面、指値注文などをしてできるだけ安く買おうとするとなかなか面倒です(詳細は以下の記事参照)
また、基準価額とマーケット価格のかい離(要は理論値と現実値のかい離)もそれなりにあるので、売買時には注意する必要がありそうです。
このように結構手間はかかるのですが、フロンティア株は他の地域にはないマニアックな魅力を備えている領域なので、好きな人にはたまらないのではないかと思います。