金利とセクターの関係。金利上昇に強いセクターと弱いセクターの特徴

セクター金利と株価の関係は複雑です。

金利上昇は事業の借り入れコストの上昇につながるためこの点ではマイナスです。

一方で、金利が上がることは経済の強さを反映しており、金利上昇とともに株価が上昇することも多くあります。

一方で、金利と株式のセクターは比較的に明確に現れます。

つまりセクターにより、金利上昇に強かったり弱かったりするのです。

ここではそんな金利とセクターの関係についてご紹介します。

金利上昇に強いセクター

まずは、金利上昇に強いセクターからです。

金利上昇に強いとは、金利が上がっても売られない、もしくは株価が上がる傾向にあるセクターです。

そのようなセクターの代表は「金融」です。

なぜ金融セクターは金利上昇に強いのか

金融セクターの代表銘柄は銀行です。

銀行における本業のビジネスモデルは、短期金利で借りて、長期金利で貸すということです。

具体的には預金者のお金を使って、より高い金利で企業にお金を貸すことで、その利ザヤを稼ぐというのが銀行の本業です。

この「利ざや」がポイントで、長期金利が高いほど、利ザヤは大きくなります

つまり銀行の儲けは大きくなります。

逆に長期金利が低く、利ザヤが稼げない状態においては銀行は本業で稼ぐことが難しくなってきます。

このように、長期金利が(相対的に)高い程、本業の稼ぎが大きくなるため、金融セクターは長期金利が上昇すると株価も上昇する傾向にあります。

つまり、今後長期金利が上昇すると予測するのであれば、金融セクターは狙い目ということです。

金利上昇に弱いセクター

逆に金利上昇に弱いセクターの代表は、「インフラ」や「食品」といったいわゆるディフェンシブセクターです。

これらのセクターでは、金利が上昇すると売られる傾向があります。

なぜディフェンシブセクターは金利上昇に弱いのか

ディフェンシブセクターの特徴は、高利回りという点です。

多くの投資家は、ディフェンシブセクターには高い配当利回りを求めて投資しているのです。

昨今では低金利の状態が長引いているため、昔に比べより一層値動きがそれほど大きくなく、配当利回りの高いディフェンシブセクターの銘柄を債券の代替として投資する動きも見られます。

もし金利が上昇すると、相対的にディフェンシブセクターの利回りは低下するため、投資先としての魅力が薄れます

また、債券から得られる利回り水準が高くなれば、債券の代替としてディフェンシブセクターへ投資していた資金は債券市場へと流れていきます。

このような背景から、金利上昇によりディフェンシブセクターは売られやすいのです。

金利とセクターの関係を使った投資戦略

このような関係性を踏まえると、簡単な投資戦略を考えることができます。

今後金利が上昇すると考えるのであれば、「金融セクター」を買い、下落すると考えるのであれば「ディフェンシブセクター」を買えばよいのです。

ただ現状の金利水準は歴史的に見て以上に低いため、この点は十分に勘案した上で投資する必要があります。

ディフェンシブは高く、金融は安い

2017年末時点での相対感で言えば、ディフェンシブセクターと金融セクターでは前者の方が圧倒的に割高です。

背景は既に述べた通りですが、近年の超低金利(マイナス金利)政策により、金利がほとんどない状態が続いているためです。

このような環境においては、当然配当利回りの高いセクターは買われ、金融のような長期金利と業績が連動するようなセクターは売られます。

そして両者のバリュエーション格差はかつてない程に開いています

非対称なリターン構造

現在の状況を踏まえると、ディフェンシブセクターと金融セクターの将来のリターンは非対称あると言えます。

金利は既に下限が見えているため、ここから下がる確率と上がる確率は明らかに等しくないからです。

もちろん将来どの程度の期間ほぼゼロ金利が続くかはわかりませんが、上がるか下がるかの確率で言えば、上がる方が高いのです。

つまり、現在の金利水準を前提にすれば、ディフェンシブセクターよりも金融セクターの方が将来的には投資妙味があると捉えることができます。

もちろんこれは「確率の問題」ですので、必ず当たるわけではないことはご了承ください。

あくまでも考え方の1つを提示しているという話です。

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