日本債券ファンドへ投資を行わない3つの理由。個人向け国債の方が有利

株式バリュエーション

私は現在のところ日本債券は投資対象とはしていません。

もちろん期待リターンが低すぎるというのがその主たる理由ですが、それ以外にも見逃せない問題点が日本債券にはあります。

ここでは日本債券へ投資を行わない3つの理由をご紹介します。

金利が低すぎる

信じられないほどの低金利

現在の日本国債の長期金利はほぼ0%です。

ほとんど投資家をバカにしたような水準です。

投資しているにも関わらず、利回りが0%というのはどういうことでしょうか。

むしろ信託報酬などのコストを勘案すると、マイナスリターンになってしまいます。

なぜこれほどまでに低金利(というかゼロ金利)なのでしょうか?

その答えはとても簡単で、金利がほぼ0%でも買う主体がいるからです。

金利0%でも債券を買う人々

まず、金融機関は、物理的なキャッシュを多く保有することができないため、基本的には債券を保有します(短期債券含む)

そのため、少しでも金利があれば(たとえそれが0.01%であっても)債券を買いに行きます。

日銀トレード

まだ、現在の金融緩和の枠組みでは、発行されたほとんどの部分を日銀が買うような構図になっています。

そして、日銀はセカンダリーマーケット(つまり市場)から債券を購入します。

プライマリーで買う主体からすると、買った後にすぐにセカンダリーで日銀が買ってくれることになります。

つまり、プライマリーで買って、すぐにセカンダリーで日銀に売りつけると、わずかな利ザヤが稼げるのです。

このような構造があることから、金利が低くても、そして場合によってはマイナスでも買ってくれる主体が表れるのです。

つまるところ、このような構造があることから、金利はほとんど0に張り付いたような状況になっているわけです。

個人投資家にメリットはない

話はだいぶそれてしまいましたが、現在の金利はほぼ0です。

もちろん年限により異なりますが、10年国債で0~0.1%程度、それよりも短い年限だとマイナスの年限も多くあります。

個人投資家にとっては、上記で述べたような日銀トレードとは無縁なため、金利水準こそが投資を決める重要なファクターになります。

そして、現在の金利水準はまったく投資には値しません。

普通にコストの安い日本債券型のインデックスファンドを買っても、期待リターンがマイナスになるおそれがあります。

どんなに分散が働いたとしても、リターンがマイナスの資産に投資したいと思う奇特な方はなかなかいないでしょう。

かつては金利が高い時期もあった

以下のグラフは過去30年間の長期金利の推移です(出所は「実戦住宅ローン」さんのホームページ)

30kokusai

1990年ころのように、金利が5%~7%の水準であれば、株式との分散が働き、リターンも狙える資産として投資する価値はあります。

このような時代が再び巡ってくるかどうかはわかりませんが、少なくとも現状では日本債券は投資対象の蚊帳の外です。

金利上昇リスクが大きい

日本債券インデックスの代表である野村BPIインデックスによると、デュレーション(債券の平均残存年数)は8年を超えています。

デュレーションという言葉を知らない人にざっくり説明すると、金利が1%上がると債券価格が8%くらい下がることを意味します。

つまり、今例えば金利が1%まで上昇すると8%くらいのマイナスリターンとなり、2%だと16%くらいマイナスになるということです。

つまり、日本国債インデックスファンドは、金利上昇にすこぶる弱い構造となっているのです。

今後今の超低金利状態がどのくらい続くかはわかりませんが、将来的にこれだけの金利上昇リスクを負いながら、利回りが0%程度(ファンドに投資するとさらにここからコストが引かれる)というのは全く割に合いません

まさに、潜在的には大きなリスクを負いながら、得られるリターンがわずか(もしくはマイナス)というのが現在の日本債券の姿です。

個人向け国債の方が有利

一方で、個人向けには、「個人向け国債」というものが存在します。

この個人向け国債は、上記の日本債券ファンドよりも多くの点で優れています。

個人向け国債には、「固定タイプ」と「変動タイプ」の2種類がありますが、ここではより商品性が優れている「変動タイプ」を取り上げます。

金利に下限がある

まず、この個人向け国債には、金利に下限が設けられています。

具体的には、0.05%が下限金利となっています。

つまり、マーケットの金利がこれよりも下がり、たとえマイナスになっても、この商品の金利は0.05%よりは下がらないのです。

昨今では銀行の預金金利が0.00001%など預ける人を馬鹿にしたような数字になっていますが、これにくらべるととても良心的な金利水準の設定であると言えます。

金利上昇に強い

そしてこちらがメインの優れた点ですが、個人向け国債の変動タイプは金利上昇に強いのです。

具体的には、マーケットの金利が上昇すると、その金利を参照して個人向け国債の金利も上がる仕組みになっています。

ここでのポイントは元々の投資した元本部分は金利によって変動せず、あくまで支払われる金利だけが変化するということです。

つまり、元本が保証されながら、金利上昇の恩恵も受けられるのです。

この商品設計は投資家に非常に有利です。

日本債券ファンドを買うのがばからしくなってきます。

今後しばらく使う予定のないまとまったお金がある場合には、銀行預金に眠らせるのではなく、是非個人向け国債を活用することをおすすめします。

まとめ

まとめると、日本債券ファンドが投資に値しない理由は以下の3つになります。

  • 金利が低すぎる
  • 金利上昇リスクが高すぎる
  • 個人向け国債(変動型)の方が有利

なんとなく、こう書くと個人向け国債を推奨しているようにも見えてしまいますが、そういうことではありません。

あくまで、日本債券ファンドに比べると相対的にましということを言っています。

そもそも金利が付くとはいっても、現在の0.05%ではほとんど気休め程度です。

なので積極的に個人向け国債に投資しようという気も起りません。

なお、個人向け国債は基本元本保証ですが、購入後1年間は解約できない(解約すると元本が割れる)、中途解約時にはペナルティとして幾分の利回りが差し引かれるという扱いにくい特徴もあります。

この辺りはネットで調べることをおすすめします。

また、個人的に強調したいのは、金利上昇リスクです。

この辺りは機関投資家であればある程度把握はしていますが(ただし把握していれば損失がでないというわけではありません)、個人投資家の中には知らずに買っている方も多いのではないかと思います。

いざ金利が上がった時に、こんなはずではなかった!とならないように、是非投資先の商品性を精査されることをおすすめします。

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