それらの中でも「軍用地」への投資というのは実になじみのない、ニッチな投資対象ではないでしょうか。
私もこのような投資はこれまで知りませんでしたが、「軍用地投資入門」という本を読み、その内容に興味をそそられました。
そこにはこれまでとは違った次元の投資対象が描かれていました。
ここでは、この「軍用地投資入門」を読んで感じた軍用地への投資に対する所感をご紹介します。
お金持ちはこっそり始めている 本当は教えたくない! 「軍用地投資」入門
正式名称は上記の通りです。
どうも著者が実際に軍用地に関わる仕事をしており、この本の出版がばれたため現在のところ絶版となり、入手が困難になっているようです。
著者は規則の範囲内で内容を記載していると書いていますが、内容の専門性の高さを考えるとさすがに職務以外で得た知識と言い張るのは無理があると思われます。
そのくらいこの本の中身は濃く、この1冊で軍用地投資についての情報は相当程度得ることができます。
軍用地投資とは
まずそもそも論としての軍用地とは?という話です。
軍用地というのはその名の通り、軍が使うための土地です。
そして、その土地に投資する(所有する)ことを軍用地投資と言います。
軍用地と聞くと国有地のようなイメージがありますが、国有地のみならず私有地も多く、その私有地が沖縄を中心に売買されているということです。
もちろん私有地とはいえ、軍に使われることが前提の為、自分でその土地を自由に使うことはできません。
軍用地投資を行った際には、その土地に対する使用料が国からちゃりんちゃりんと入ってくるという仕組みになっています。
軍用地投資の利回りは高くない
肝心の軍用地投資の利回りはというと、概ね2.3%程度というのが昨今の目安だそうです。
正直不動産投資の一環として考えると、ちょっと低くない?というのが個人的な所感です。
ただ、内容を見てもらえればわかるのですが、
- 軍用地というのは売買が活況で流動性リスクが通常の不動産より低い
- 建物の劣化を考慮しなくてよいので、将来の評価額が下がるリスクが少ない
といったメリットがあるようです。
つまるところ、こうしたメリットを勘案するとこのくらいの薄い利回りになるとも考えられます。
また、近年では軍用地投資のおいしさを焚きつけた投資家が群がっており、そのことで価格が上がり、利回りが低くなっているという事情もあるようです。
つまり、知っている人は以前から知っていて、既にある程度の高値になってしまい、投資妙味は以前に比べると薄くなってしまっていると考えられます。
REITで十分
私自身はこの本を読んでも、軍用地投資には特段魅力を感じませんでした。
理由としては、既に述べたものがありますが、
- 利回りが魅力的ではない
- 既にある程度知られてしまっており、高値掴みになる可能性がある
- 上場ものに比べると流動性が劣る
- 手続きがめんどくさそう
といったところです。
正直利回り2.3%であれば、REITでよくない?というのが素直な感触です。
REITなら市場で売買できるので流動性は抜群ですし、配当利回りは足元で4%くらいありますので単純に投資対象としてはより魅力があります。
REITのような上場ものは価格変動が大きくて嫌だという人もいますが、長期的に見ればリターンは配当利回りのようなファンダメンタルズに収斂していくので、短期的な動きなど気にしなければいいのです。
軍用地投資をする条件
現在では軍用地投資には全く興味が沸いていませんが、以下のような条件がそろった場合には検討してもよいかと思っています。
- 利回りがREIT以上
- ブームが去って誰も投資したがらない(つまり価格が下がっている)
- 今後も国から軍用地使用料が継続して支払われる確信が持てる
- ある程度まとまった余剰資金がある
このような条件がそろった状態で、あくまでもオルタナティブ的な意味合いで投資する分には面白いかもしれません。
ただ、少なくともどんな状況においても、ポートフォリオの中核にはなり得ないというのが個人的な所感です。
やはり投資の中心に据えるべきは国際的な分散ポートフォリオです。