リスクパリティ戦略は、
伝統的な資産配分では、株式60%、債券40%
しかしながら、対象資産によりリスク水準は異なるわけです。
資産配分は株や債券を何%と機械的に決めるのではなく、
近年ではあまりに多くの投資家が殺到したため、
ここではこのリスクパリティ戦略の特徴と問題点をご紹介します。
リスクパリティとは
「リスクパリティ」の「リスク」はいわゆる資産価格の変動(
つまり、複数の資産へ配分する際に、
例えば、株式60%、債券40%という比率だと、
リスクパリティはポートフォリオに対するリスクの寄与を同じよう
リスクパリティの具体例
固定配分の問題点
株式のリスクを20%、債券のリスクを5%とします。
株式と債券をそれぞれ50%ずつ保有する場合、
このリスクのうち、8割くらいは株式の寄与になります。
つまり、ほとんどポートフォリオ全体の動きが、
これが従来型の固定配分の問題点です。
リスクパリティの場合
上記の株式と債券の例を用いて、リスクパリティのポートフォリオを具体的に作ってみます。
まず、株式のリスクの逆数と債券のリスクの逆数を求めます。
- 株式:1/20%=5
- 債券:1/5%=20
この数字で加重平均したものがリスクパリティのウェイトになりま
- 株式ウェイト:5/(20+5)=20%
- 債券ウェイト:20/(20+5)=80%
つまり、株式20%、債券80%のウェイトで持てば、
株式と債券ではそもそものリスク水準が違いすぎるため、
なぜリスクパリティの人気が高いのか
リスクパリティは近年大変人気の戦略です。
なぜ人気かというと、
また、リスクパリティが人気の理由は別にもあります。
ここ数十年の環境を振り返ると、
そのため、リスクパリティ戦略のシミュレーションをすると、
これはほとんどデータマイニングとも呼べる領域ですが、
端的にいってしまうと、ウェイトの配分に合理性・透明性があり、
リスクパリティの問題点
ここまではリスクパリティのメリットをやや強調してきましたが、
ここでは3つの問題点をご紹介します。
- ハーディング
- 順張りの要素を持つ
- 最適解ではない
ハーディング
リスクパリティが人気ということは、
ハーディングの何が問題かというと、
例えば株式のボラティリティの上昇を考えます。
ある日突然暴落が起こり、株式のボラティリティが上昇すると、
ボラティリティが上がった分、
そして、ハーディングが起こっていると、
その結果更に株価が下落し、ボラティリティが上昇します。
するとそのボラティリティの上昇を受けて、更に株式を減らしに・
というスパイラルに陥る可能性があるのです。
過去には1987年のブラックマンデーや、
クオンツ的な運用というのは、
順張りの要素を持つ
リスクパリティ戦略では、
理由はすでに述べた通りですが、
ある資産のボラティリティが下がるときというのは、
つまり、下落するとその資産を減らし、
これは資産間の順張りを行っているようなものなのです。
よく知られているように、アセットアロケーションにおいては、
リバランスが大切なのは、
株式や債券やREITといった資産は、
つまり、リターンが平均回帰するのです。
そしてこの平均回帰性を利用して運用効率を上げるのが逆張りの要
リスクパリティにおいては、
そのため、特に平均回帰が顕著な相場においては、
資産配分の最適解ではない
資産配分においては、
事前ベースなので、
リスクパリティに関しては、この最適解に比べると、
まあ単純に資産間のリスク寄与を等しくしているだけなので、
ちなみに、資産間の相関が0の場合には、
この辺りの説明はややこしいので割愛しますが、
リスクパリティの特徴と問題点のまとめ
以上、リスクパリティの特徴と問題点をまとめます。
まず、特徴としては、
- 資産間のリスク寄与が等しくなるようにポートフォリオを作る
- 従来の固定比率に比べ、債券のウェイトが大きくなる
- 過去のパフォーマンスがよい
といったことが挙げられます。
考え方はシンプルでかつ筋の通ったウェイトのつけ方をするため、
一方で以下のような問題点もあります。
- 人気がありすぎてハーディングしている可能性がある
- 順張りの要素を内包しており、
パフォーマンスの足を引っ張っている可能性がある - 必ずしも最適なポートフォリオではない
最後の部分はあまり気にする必要はないのではないかと思いますが
日本だけでなく、世界的に人気がある戦略のため、
もちろん同じリスクパリティといっても、
しかしながら、人間の考えることは大抵同じようなものなので、
個人的にはシンプルでかつ背後にある考え方もかなり合理的なので