ファンドマネージャーの種類と序列。やはりアクティブが一番偉い

ファンドマネージャー一般的にファンドマネージャーというと何だか凄そうな響きがありますが、実際にはファンドマネージャーにも様々な種類があります。

もちろん将来の相場を予測し、アクティブに運用するファンドマネージャーもいますが、それ以外にもファンドマネージャーと呼ばれる人は多くいます。

ここでは、ファンドマネージャーの種類と特徴及びファンドマネージャーの序列をご紹介します。

ファンドマネージャーの種類

大まかに言うと、ファンドマネージャーには以下のような種類があります。

  • ジャッジメンタル
  • クオンツ
  • インデックス
  • ゲートキーパー

ジャッジメンタル

ジャッジメンタルは、相場や銘柄の将来を予測し、パフォーマンスの向上を目指すファンドマネージャーのことです。

一般的にファンドマネージャーというと、このジャッジメンタルを想像する方が多いと思います。

このジャッジメンタルのファンドマネージャーは、更に以下の2つに分類することができます。

株式ジャッジメンタル

株式のアクティブファンドを運用するファンドマネージャーです。

基本的には個別銘柄を精査し、魅力的な銘柄に投資をするというスタイルのファンドマネージャーです。

一般的なイメージに一番近いファンドマネージャーではないかと思います。

個別銘柄を精査するには、財務諸表を読み込んだり、経営者やIRとのミーティングを行ったり、アナリストと議論したりと様々な手段があります。

どの手段を重視するのかも、ファンドマネージャーにより異なります。

ただ共通で言えるのは、中長期的に魅力的な銘柄へ投資し、アルファを狙うという目標を持っているということです。

債券ジャッジメンタル

債券の場合には、株式とは大分マーケットを見る視点が異なります。

株式の場合には、個別銘柄の精査というボトムアップのアプローチが主流なのに対し債券の場合には経済のマクロ環境を判断するというトップダウンのアプローチが主流です。

例えると、株式の場合は木を見て、債券の場合には森を見るといった感じです。

そういった意味で、同じファンドマネージャーでも株式と債券では見方がかなり異なります。

なおこれ以外にもバランス型(アセットアロケーション)運用のファンドマネージャーもいますが、こちらもマクロからのアプローチが主流ですので、債券と親和性が高いです。

クオンツ

クオンツのファンドマネージャーは、クオンツモデルを主体として運用します。

つまり、運用のための数理的なモデルがあり、基本的にはモデルに沿う形で運用するわけです。

そういった意味で、クオンツファンドマネージャーにとって重要なのは将来的な相場観ではなく、モデルがうまく機能するかどうかです。

ジャッジメンタルのように将来的な予測をするのではなく、モデルに従って売買し、そしてモデルがワークしているかをモニターし、改良していくのがクオンツファンドマネージャーの役割になります

インデックス

インデックスのファンドマネージャーは、基本的にいかに対象としているインデックスからのかい離を抑えるかという視点で運用しています。

そのため、日々の業務はインデックスとのかい離をできるだけ減らすためのオペレーションが主体となります。

ただし、機械的なオペレーションだけでなく、

  • コーポレートアクション(株式分割や合併などのイベント)にどう対応するか
  • インデックスからの除外や新規組み入れにどう対応するか
  • 投資が難しい銘柄に対し、どのような代替手段をとるか

など人手が必要な対応も結構あります

また、ただインデックスに連動させるのではなく、例えば貸し株をしたり、売買に柔軟性を持たせたりして、インデックスにプラスのパフォーマンスを乗せようという試みも中にはあります。

ゲートキーパー

ゲートキーパーは、平たく言うと、商社のような役割のファンドマネージャーです。

外部の運用会社に運用を委託し、その運用指示に従い売買を行います。

また委託先のモニタリングであったり、顧客向け資料を作ったりといった営業的な仕事もあります。

要は自らは運用せず、外部の運用委託先と顧客との間を結ぶという意味で、商社に近い仕事というわけです。

自分で運用をしないため、一般的なファンドマネージャーとイメージは異なりますが、業界的にはゲートキーパーもファンドマネージャーと認識されています。

ただ、あくまで運用は外部に委託するため、自分で運用したいという人には向かないかもしれません。

一方で、例えば海外の一流と言われている運用会社と関わりたい、様々なファンドを発掘したいといった志向を持った人には合う職種かもしれません。

ファンドマネージャーの序列

以上4種類のファンドマネージャーをご紹介しましたが、これらのファンドマネージャーには暗黙の序列が存在します。

偉い順に並べるとこうなります。

  1. ジャッジメンタル
  2. クオンツ
  3. インデックス
  4. ゲートキーパー

ジャッジメンタル

一番偉いとされているのはジャッジメンタルのファンドマネージャーです。

日々自ら運用の判断を行っているため、ストレスは多いですが、やりがいも大きいです。

自らの頭で将来を予測し、パフォーマンスという尺度で評価されるシビアな世界ではありますが、その分ファンドマネージャーの中での階層は最も上になります。

クオンツ

クオンツの序列はジャッジメンタルよりも劣ります。

クオンツと聞くと凄そうなイメージがありますが、やはりモデルがあっての運用のため、重要なのはジャッジメンタルな予測ではなく数理的なモデルです。

もちろんモデルの開発は大変ですが、モデルができてしまえば基本的にそれに従って運用していればよいという点で、ストレスはジャッジメンタルよりも少ない傾向があります。

また、クオンツファンドは複雑で顧客に売りにくい、過去しか見ていないので予想外のイベントに弱いなどの弱点があり、その点もジャッジメンタルよりも序列が下がる要因と言えます。

なお、世界的には、クオンツの序列が高い運用会社もあり、この辺りは地域による違いも見られます。

インデックス

インデックスは主要な業務がオペレーションになるため、序列としては下のほうになります。

もちろんすでに述べたように定型的な作業以外の対応というのもあるのですが、基本的にアルファを狙う運用ではないため、個性が出にくいという側面もあります。

ただ、昨今はインデックス運用が流行りであり、将来的にも有望とみなされているため、今後序列の変化がみられる可能性はあります。

ゲートキーパー

4つの中で唯一自分で運用しないため、序列は一番下になります。

そもそもファンドマネージャーを名乗ることは適切なのか?という議論もありますが、まあ個人的にはどちらでもよいのではないかと思っています。

ファンドマネージャーとしての序列は低いのですが、実は収益性が高いのはこのゲートキーパーです。

というのは、日本の運用会社にはやれないような複雑な資産や運用手法を外部に委託するため、その分フィーも高くなります。

もちろん委託している運用会社にそれなりのフィーが落ちるのですが、ゲートキーパーにもやはりそれなりのフィーが落ちるため、結構稼げるわけです。

実際としては自らが運用していないにも関わらず、それなりのフィーがもらえるのは考えようによっては美味しいと言えます(もちろん運用以外の部分でやることはたくさんあるのですが)

ただやはりファンドマネージャーとしては、自分がいかに運用にコミットしているかという点で序列が決まる傾向があるため、ゲートキーパーの序列は低くなってしまいます。

なお、ここで紹介した序列はあくまでも気持ち的な偉さのようなものなので、必ずしも会社の中での重要度の順番というわけではないことをご留意ください。

まとめ

一口にファンドマネージャーといっても、このような様々な種類が存在します。

運用業界に入りたい方の多くはジャッジメンタルやクオンツのファンドマネージャーを志望しているかと思いますが、必ずしも数としては多くありません。

おそらく全体の1割にも満たないのではないでしょうか。

また、ジャッジメンタルのファンドマネージャーの部署に行けたからといって必ずしも自分で投資判断を行えるとは限りません。

というのは、特に大手の運用会社では、チーム運用というのが基本になります。

そのため、チームで一番偉い人(チーフファンドマネージャーとか呼ばれたりします)が投資判断を下し、他のメンバーはその判断に従ってポートフォリオを調整するという仕事がメインになることが多いのです。

自分で投資判断を下し、マーケットと対峙したいという方は、証券会社の自己勘定(すっかり少なくなりましたが)やヘッジファンドを志すのも1つの道ではあります。

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