株式投資の際によく使われる指標に、PBR、PER、ROEがありますが、この3つには密接な関係があります。
今回はこの便利な関係式と、実際の使い方の例をご紹介します。
PBRとPER、ROEの関係
関係式
PBRとPER、ROEの関係式は以下の通りです。
PBR=PER×ROE
とても簡単です。
証明
一応理屈を説明します。
P:株価、 BV:一株当たり純資産、 E:一株当たり利益
とします。
すると、各指標は以下のように表せます。
PBR=P/BV
PER=P/E
ROE=E/BV
これを、上記のPBR=PER×ROEに当てはめると、
P/BV = P/E × E/BV
となり、右辺のEが分子分母で消えるため、両辺が等しくなります。
使用例
使い方の例です。
ここではPBRを基準に考えてみます。
PBR=PER×ROEという式の意味するところの1つは、PBRはPERとROEに分解できるということです。
ここで、A社、B社ともにPBRが3倍とします。
また、PERとROEは以下のようであったとします。
A社⇒PER:30倍、ROE:10%
B社⇒PER:10倍、ROE:30%
両者ともPBRは3倍で高い水準ですが、PERとROEに分解してみると、A社の高いPBRは高いPERからもたらされていて、一方のB社は高いROEによって高いPBRがもたらされていることがわかります。
このように分解することで、各指標の意味を深堀することができます。
上記の例でいうと、例えばバリュー投資を行う人にとっては、A社よりB社の方が好ましいという結論になるかもしれません(PERが低いので)
2つの要素からもう1つの要素を瞬時に推測できる
PBR=PER×ROE
この式が更に便利なのは、2つの要素が分かれば残りの要素も瞬時に推測できることです。
例えば、PBRが高くてROEが低い銘柄があった場合、瞬時にPERは高いということがわかります。
このようにとても使い勝手のいい式なので、株式投資をされる方は頭の片隅に置いておくことをお勧めします。
式の解釈
ここで少し式の解釈についてご説明します。
再度式を記載すると、
PBR=PER×ROE
です。
この式がよく使われるのは、PBRとROEの関係性を見る時です。
ここで、PERを一定とすると、ROEが高いほど、PBRも高くなるという関係性が見えます。
つまり、収益性が高いほど、PBRも高くなるということです。
PBR-ROEモデル
この式をベースによく使われるのが、PBR-ROEモデルというものです。
エッセンスは簡単で、各銘柄のROEを横軸にプロットし、縦軸にPBRをプロットしたグラフがこのモデルの示すところになります。
ROEが高いほどPBRも高いため、このグラフは右肩上がりとなります。
そして、このプロットへ引いた回帰線の傾きがPERに相当することになります。
なにが言いたいかというと、この回帰線がマーケットのフェアバリューを示し、それより下にある銘柄は割安で、上にある銘柄は割高という判定ができるのです。
バリュエーションを図る指標としてはPBRやPERがよく使われますが、このPBR-ROEモデルではROEの水準も考慮した割安・割高が図れることがポイントです。
興味のある方は一度エクセルで図を書いてそれぞれの銘柄の位置関係を確認してみてください。
銘柄間の関係性がまた違った視点でみられると思います。