国内最大の運用機関であるGPIFが株式と債券の期待リターンを公表しています。
GPIFは過去に何度か期待リターンを公表していますが、ここでは平成26年版についてご紹介します。
GPIFによる期待リターン(平成26年版)
期待リターン | リスク | ||
経済中位ケース | 市場基準ケース | ||
短期資産 | 1.1% | 1.0% | 0.5% |
国内債券 | 2.6% | 2.0% | 4.7% |
国内株式 | 6.0% | 5.2% | 25.1% |
外国債券 | 3.7% | 3.5% | 12.6% |
外国株式 | 6.4% | 6.2% | 27.3% |
経済中位ケースと、市場基準ケースの2パターンが提示されていますが、これは将来の生産性上昇率の仮定の違いを反映させたものとなっています。
数字を見てわかる通り、経済中立ケースの方が将来の生産性上昇率の想定は高いです。
両者には顕著な違いはありませんが、強いて言えば国内株式の違いが比較的大きいでしょうか。
個人的には、日本株のリターンが6%というのは少し高い印象を受けています。
リスクに関しては、シンプルに過去20年間のデータから計測しています。
GPIFによる期待リターンまとめ
平成24年版 | 平成26年版 | ||
経済中位ケース | 市場基準ケース | ||
短期資産 | 1.9% | 1.1% | 1.0% |
国内債券 | 3.0% | 2.6% | 2.0% |
国内株式 | 4.8% | 6.0% | 5.2% |
外国債券 | 3.2% | 3.7% | 3.5% |
外国株式 | 5.0% | 6.4% | 6.2% |
前回の平成24年版を加えたまとめになります。
平成26年版は特に株式の期待リターンの上昇が顕著です。
これはおそらく基本ポートフォリオ策定において、株式の比率を増やすために行った施策なのではないかと想像します。
期待リターンとリスク、相関係数を使ったアセットアロケーションを求める際には、期待リターンを少し動かしただけで、出来上がりのポートフォリオは大きく変わってきます。
ここにあるように、国内株式をこれだけ動かすと、出来上がりのポートフォリオでも大分増えることが想像されます。
一方で国内債券の期待リターンの低下も目立ちます。
こちらは逆に、アロケーションの大きな低下が予想されます。
GPIFの期待リターンに関する所感
3つのケースのうち、平成26年の市場基準ケースが個人的には最もしっくりきます。
国内債券が3%から2%へ修正され、より昨今の状況を踏まえた期待リターンになっているように思われます。
外国株式は5%から6.2%へと上昇し、国内株式との差が開いています。この変化についても個人的には理に適っているように思われます。
潜在成長率が国内と海外で違いがある中で、期待リターンがほぼ同じという平成24年版の数字は違和感がありましたが、平成26年版ではこの違和感が解消されています。
逆に違和感があるとすると、国内債券と外国債券の期待リターンの差でしょうか。
なぜ両者に差をつけたのかは定かではありませんが、理論上は内外の債券の期待リターンは概ね同じになるはずです(外国の方が利回りが高くても、為替によって調整されます)
平成24年版ではほぼ同一の期待リターンとしていたのに、どういう理屈で両者に差をつけたのか気になるところです。