いくらくらいあれば早期リタイアできるのかは多くの人が関心を寄せることです。
リタイアするにはとにもかくにもお金が必要です。
ただ一口にお金が必要といっても、計算してみなければ何もはじまりません。
ここではいくつかの前提を置いたうえで、早期リタイアに必要な資産額を計算しています。
前提条件
まずは前提条件の整理です。
収入については以下の仮定を置きます。
- 収入は運用益のみ(つまり、アルバイトとか年金などは考えない)
- 運用益は税引き後で計算
まあ美しいほどシンプルな(シンプルすぎる)前提条件です。
完全に不労所得で生活するということですね。
この条件から察するに、資産額がとても重要になってきます。
収益率と資産額の組み合わせ
計算に先立ち、資産から得られる収益率と資産額を3パターンに分けて考えます。
この辺りはいくらでも複雑にできてしまうのですが、わかりやすさを考慮してそれぞれ3パターンとします。
収益率の3パターン
まず、資産から得られる年間の収益率を以下の3パターンに分けて考えます。
- 7%(リスク高め)
- 5%(まあまあリスクとる)
- 3%(結構保守的)
イメージ的には、1は株式中心、3は債券中心、2はその中間といった感じです。
資産額の3パターン
資産額は、以下の3パターンを考えます。
- 3000万
- 5000万
- 1億
この3パターンの資産額と、上記の3パターンの収益率を組み合わせ、3×3=9で全9パターンの収入を計算していきます。
月収の計算
それでは、具体的にそれぞれのパターンで月収がいくらになるのかを計算していきます。
ここでは資産額別に月収がどのような変わっていくかを見てみます。
資産額3000万の場合
- 3000(資産額①)×0.07(収益率1)×0.8(税金考慮)=168万/年=14万/月
- 3000(資産額①)×0.05(収益率2)×0.8(税金考慮)=120万/年=10万/月
- 3000(資産額①)×0.03(収益率3)×0.8(税金考慮)=72万/年=6万/月
収益率が低い場合には月6万円、収益率が高くても月14万円です。
まあこの収入で生活していくのは厳しいと言わざるを得ません。
もちろん月14万円でも物価の安い地域で一人で暮らすのであれば可能かもしれませんが、そのような一部のケースでしか早期リタイアは難しそうです。
資産額5000万の場合
- 5000(資産額②)×0.07(収益率③)×0.8(税金考慮)=280万/年≒23万/月
- 5000(資産額②)×0.05(収益率②)×0.8(税金考慮)=200万/年≒17万/月
- 5000(資産額②)×0.03(収益率①)×0.8(税金考慮)=120万/年=10万/月
とても余裕があるとは言えませんが、そこそこの収益率を仮定するのであれば、リタイアは可能な額です。
もちろん都心でぜいたくな暮らしはできませんが、ファミリーでも郊外の物価の安い地域であればなんとか生活できるレベルではないでしょうか。
資産額1億円の場合
- 10000(資産額③)×0.07(収益率③)×0.8(税金考慮)=560万/年≒47万/月
- 10000(資産額③)×0.05(収益率②)×0.8(税金考慮)=400万/年≒33万/月
- 10000(資産額③)×0.03(収益率①)×0.8(税金考慮)=240万/年=20万/月
資産額が1億円になると、大分ゆとりが出てきます。
よい収益率を仮定するのであれば、都心でもそれなりに優雅な生活が満喫できそうです。
仮に収益率が低くても、節約すれば十分に生活していけるレベルです。
ゆとりのあるリタイア生活を謳歌したいのであれば、1億円というのが1つの目安になりそうです。
資産額と収益率の月収マトリックス
資産額と収益率を1つの表にまとめると以下のようになります。
収益率7% | 収益率5% | 収益率3% | |
資産1億 | 47万 | 33万 | 20万 |
資産5000万 | 23万 | 17万 | 10万 |
資産3000万 | 14万 | 10万 | 6万 |
収益率によって大分月収には差が出るのですが、例えば中間の5%で考えると、
- 3000万では1人暮らしかつ相当の節約が必要
- 5000万では1人であればなんとかなりそうだが、ファミリーだと結構きつい
- 1億あれば、問題なくリタイア生活を謳歌できそう
といった感じになります。
もちろんここでの試算は運用益のみで生活することを前提にしているため、副収入を得たり、他に不労所得がある場合は考慮していません。
仮にそういったものも考慮するのであれば、よりリタイアのハードルは低くなります。
まとめ
最後にまとめると、もちろん収益率の前提にもよりますが、例えば現実的な5%を仮定すると早期リタイアに必要な資産額は5000万程度と言えそうです。
もちろん個々人の消費性向や、ライフスタイル、家族形態、趣味のコストなどなど様々な要因によって必要な額は変わってきます。
ここではあくまでもそういったことを完全に無視した想定を置いているということをご了承いただければと思います。
なお、個人的には早期リタイアした後も、なにがしかの仕事をしたり、社会的な活動をすることをおすすめします。
やはり人間は社会性の動物なので、運用益のみで人との接点がなく暮らしていくというのは現実的に厳しいものがあります。
また、そのような活動を通じて少しでも金銭を得られれば、リタイア後の生活もゆとりが増し、一石二鳥となります。