長期金利がほぼ0%では、日本債券ファンドはハイリスクマイナスリターンでしかない

パフォーマンスチャート近年日本国債の長期金利がほぼ0%で推移しています。

一時期は長期金利にもかかわらず、マイナスを記録していました。

ヨーロッパではこれよりひどい国もありますが、それでも異常な世界であることには変わりません。

この金利水準においては、もはや日本債券ファンドは投資に値しないといっても過言ではありません。

ここでは、債券リターンの計算式より、もはや日本債券ファンドはマイナスリターンの商品であること、そして、ダウンサイドリスクの高い商品であることを紹介します。

日本債券ファンドはマイナスリターン

債券リターンの計算式

債券のリターンは概ね以下の式で表せます。

リターン=利回り+債券価格の変化

二項目の債券価格の変化は、

デュレーション×金利変化×(-1)

と書けます。

デュレーションとは、ざっくり金利変化に対する債券価格の感応度と考えてしまってよいです。

例えば、既存の日本債券ファンドのデュレーションは8年程度なので、仮に金利が1%上昇すると、8×1%×(-1)=-8%債券価格が下落することになります。

現状の期待リターン

この式に現状を当てはめると、まず利回りはほぼ0%となります。

債券価格の変化については、上昇、下落の確率は半々ですので、期待値という意味では0です。

過去の日本債券ファンドのパフォーマンスが良好なのは、これまで金利が継続的に下がってきたことによる、債券価格の上昇の寄与が大きかったからです。

しかしながら、長期金利が0%まで低下した今、今後の更なる金利低下を見込むことは難しいでしょう。

仮に、金利が-3%、-5%というような状況になったら、日本債券ファンドがどうのこうのいっているような状況ではなくなっていると思われます。

話がそれましたが、以上を踏まえると、

債券ファンドの期待リターン=利回り0% + 債券価格の変化0%=0%

となります。

更に、債券ファンドを購入すると信託報酬がかかってきますので、コストの安いインデックスファンドを使ったとしても、年率0.2%ほどのコストがかかってきます。

これも加味すると、

債券ファンドの期待リターン=利回り0% + 債券価格の変化0% -コスト0.2%=-0.2%

となります。

もはや債券ファンドの期待リターンはマイナスです。

日本債券ファンドはハイリスク

次はリスクについてです。

債券の場合、リスクの大部分は債券の価格変化で説明されます。

先ほどの式でいうところの第二項です。

債券価格は、金利が下がると上がり、上がると下がるという関係があります。

今、金利はほぼ0%です。

今後ここからさらに大きくマイナスに進んでいく可能性はどのくらいあるでしょうか。

ある程度マイナスに沈む可能性はあったとしても、明らかに歪んだ状態なので下値は限られていると思われます。

一方で、現在のデュレーションでは、金利が1%上がると8%程度債券価格は下がります。

金利がすでに0%で下方硬直性がある中、これだけの金利上昇リスクを負うということはまさにハイリスクというほかありません。

期待リターンがわずかにマイナスであることに加え、将来的には金利上昇による大きなキャピタルロスの可能性も含まれているというのが日本債券の現状です。

まさに、ハイリスク、マイナスリターンと言えます。

日本債券より貯金の方がまし

日本債券は安全資産として位置付けられることが多いですが、個人的には日本債券ファンドはもはや安全資産とは思えません。

これだけのリスクを内包しているのに、リターンがほとんど見込めないというのはあまりに掛け率の悪いギャンブルです。

個人向け国債の変動型は、金利上昇リスクがないという点で日本債券ファンドよりはましと思えますが、それでも金利がほとんどつかない中で、流動性をある程度犠牲にするのはあまり賢い投資とは思えません。

この環境においては、たとえ金利が付かなくても、機動性に優れる普通預金で十分でないかと思います。

ただもし今後普通預金が保管料などの名目でコストを要求してきたら、話は更にややこしくなってしまいますが。