しかしながらマーケットの反応は、
なぜこのような違いが起こるのでしょうか。
ここではその理由(仮説)をご紹介します。
自社株買いと増配の違い
自社株買いと増配(配当を増やすこと)
基本これらのイベントが発表されると、
しかしながら、
両者とも株主還元という意味では同じですが、
理論上は自社株買いが有利
例えば同じ100億円分の自社株買いと増配を行う場合を考えます
自社株買いの場合には、100億円分を買い入れた分、
つまり、その分のキャピタルゲインが期待されます。
一方、増配の場合には、株主に100億円分が支払われます。
これだけであれば両者は本質的に全く同じです。
同じ100億を1株当たりの利益の増加という形で還元するか、
問題は、配当には税金がかかるということです。
配当にかかる税金を20%とすると、
一方の自社株買いの場合には税金は関係ありませんので、
つまり、税金を考慮すると、
マーケットでは増配の方が好感される
では、実際のマーケットの反応はどうかというと、
これは非常に不思議な現象です。
理論上は明らかに自社株買いの方が(株主の立場から見ると)
なぜこのような理屈と異なることが起こっているか?
株主は目先の現金を好む
まず1つ目は、株主は目先の現金を好むということです。
自社株買いは理屈の上ではEPSの増加を通じて株主価値の増加に
一方の増配の場合には、実際に現金が支払われます。
長期的には税金がかからない自社株買いの方が有利をわかっていて
理屈より、目先の現金というのが、
なお、これと同じことは、
元本が減るけど目先の現金をより欲するという構図は全く同じです
そういう意味で、毎月分配型の商品は、
配当は一度増やすと減らしにくい
配当が好まれる2つ目の理由として、
どういうことかというと、
自社株の場合には1度きりの対応で終わりということも多いですが
この辺りは、企業はベア(ベースアップ)には難色を示すが、
配当にはエージェンシー問題の緩和効果がある
配当が好まれる3つ目の理由として、
エージェンシー問題とは
エージェンシー問題とは、
例えば、経営者が不必要に豪華な社長室をこしらえたり、
経営者は基本的に自分の在任期間中に業績を上げようとしますが、
このような視点の違いもエージェンシー問題を生む原因の1つにな
配当がエージェンシー問題を軽減
エージェンシー問題が発生する原因の1つは、
事業に必要ない現金を保有していると、
配当として利益の一部を株主に還元すれば、
つまり、企業が保有する現金を減らすことで、
ここで、
確かにその通りなのですが、
もちろん、自社株買いを行った後に更に株式の消却が行われれば、
自社株買いと増配の株価への影響のまとめ
以上、自社株買いと増配の株価への影響をまとめます。
自社株買いと増配では、
しかしながら実際のマーケットでは、
この背景には以下の3つの理由が存在します。
- 自社株買いより増配の方がその後継続する傾向がある
- 株主はまだ実現していない評価益より、
目先の現金を好む傾向がある - 配当にはエージェンシー問題を緩和する効果がある
この中で、
やはり人間というのはバイアスに満ちていて、
この辺りの行動バイアスは、